「大和言葉」は、日本語において非常に婉曲的で柔らかな表現が特徴的な言葉の一つです。
これらの言葉は、話し手に優しさや配慮を感じさせるため、相手に与える印象が大きく異なります。
例えば、何かを断る際に「不可能です」と直接的に伝えると、少し冷たい印象を与えてしまうことがありますが、「あいにく~いたしかねます」という表現に言い換えることで、同じ内容でも相手に優しい気持ちを伝えることができます。
このように、大和言葉を使うことで、相手に対する配慮や思いやりを込めることができ、より円滑なコミュニケーションが可能になるのです。
今回は、特に言いにくいことを柔らかく伝えるための大和言葉を4つ紹介します。これらの言葉を覚えておくと、日常の会話やビジネスシーンで役立つ場面が増えることでしょう。
言いにくいことを伝えるときに役立つ4つの大和言葉
1. おこがましい – 目上の人に意見を述べる際の配慮の言葉
「おこがましい」という言葉は、目上の人に対して自分が意見を述べる際に使うクッション言葉として非常に有効です。
この言葉の意味は、自己の立場をわきまえずに出しゃばること、または不適切な行動を取ることです。
例文は以下の通りです。
「私が申し上げるのもおこがましいのですが、部の方針と課の方針に矛盾がありませんか?」
このような使い方をすることで、相手に対する敬意を表しつつ、自分が意見を言うことに対する遠慮を示すことができます。
「おこ」とはもともと「愚か」という意味があり、歴史的には身分の低い者が高い者に物を申すのは不適切だとされていました。
この言葉を使うことで、目上の人に対する敬意を示すことができます。
2. お力添え – 感謝や依頼をする際の敬語
「お力添え」という表現は、相手が助けてくれることに対して敬意を込めて使う言葉です。感謝を伝える際だけでなく、お願いをする時にも使えます。
例えば、「中村さんのお力添えがなければ、このプロジェクトは成し得なかったでしょう」と感謝を述べるだけでなく、「お力添えをお願いしたい」と依頼する際にも使えます。
この表現を使うことで、相手を尊重しながら支援をお願いすることができ、より丁寧で温かい印象を与えることができます。
また、「お力になる」という表現は、自分が他の人を助けるときに使う言葉であり、この微妙な違いを理解することも大切です。
3. お含み置きください – 事前に理解しておいてほしいことを柔らかく伝える
「お含み置きください」という表現は、相手に何かを事前に理解しておいてほしいと伝える際に使われる言い回しです。
この表現を使うことで、例えば「在庫状況によっては、お届けに時間がかかる可能性がありますので、お含み置きください」といったように、事前に相手に注意を促すことができます。
この表現は、単に「覚えておいてください」と言うよりも、相手に対する配慮が込められており、ビジネスシーンで特によく使用されます。
また、似たような表現として「ご承知おきください」もありますが、こちらも同様に丁寧に何かを伝えたい時に使う言葉です。
4. 折悪しく(おりあしく) – 不運なタイミングを失礼なく表現する
「折悪しく」は、「タイミングが悪い」という意味を持ちますが、直接的に「タイミングが悪い」と言うのではなく、もっと優しく伝えるための表現です。
例えば、「その時間は折悪しく先約が入っております」という使い方をすると、相手に失礼なく、かつ理解を求めることができます。
さらに、この表現は、相手を気遣う場面でも使われることがあります。「折悪しく雨が降り始めましたので、お帰りの際はお気をつけください」といった形で、状況に応じて使い分けることができます。
このように、「折悪しく」は、言葉の響きが柔らかいため、相手に不快感を与えず、優しさや配慮を示すことができるのです。
まとめ
「大和言葉」は、言いにくいことを伝える際に非常に役立つ表現が豊富です。
これらの言葉を使うことで、相手に対する配慮や敬意を示しつつ、柔らかい印象を与えることができます。
たとえば、「おこがましい」を使って目上の人に意見を述べたり、「お力添え」を使って感謝やお願いを伝えたり、「お含み置きください」で事前に理解してほしいことを伝えたり、「折悪しく」を使って不運なタイミングをやわらかく表現したりすることで、相手に対する配慮が感じられ、より円滑なコミュニケーションを実現することができます。
日常生活やビジネスシーンでこれらの大和言葉を積極的に取り入れることで、コミュニケーションがスムーズに進み、相手との関係もより良いものになることでしょう。
大和言葉を使うことは、単に言葉の使い方を工夫するだけでなく、相手を思いやる心を表現する手段にもなります。
コメント