仕事をする中で、相手に対して敬意を表し「様」をつけて呼ぶのは一般的ですよね。
「◯◯様」と名前を添えるのはもちろん、「お客様」や「お得意様」といった表現もよく使われます。
中には「クライアント様」や「ユーザー様」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
しかし、カタカナ語に「様」をつけるのは正しいのでしょうか?
また、「さん」をつけるのはどうなのでしょう?
実は、敬称を何でも「様」にすれば良いというわけではありません。
正しい使い方を理解していないケースも少なくないんです。
この記事では、「クライアント」や「ユーザー」をどう呼ぶべきかについて解説していきます!
「クライアント」と「ユーザー」の定義
まず、「クライアント」と「ユーザー」という言葉が何を指しているのかを確認してみましょう。
クライアントとは
「クライアント」とは、主に「取引先」「顧客」を指します。また、カウンセリングを受ける人や、ネットワークでサーバーから情報を利用するコンピューターのことも含まれます。
ビジネスでは特に「顧客」の意味で使われることが多い言葉です。
例えば、広告代理店が広告主を「クライアント」と呼ぶことが一般的ですし、他の業界でも取引先をこう呼ぶことがあります。
つまり、サービスを受ける立場の人や企業を「クライアント」と言うわけですね。
ユーザーとは
「ユーザー」は「利用者」や「使用者」を意味します。商品やサービスを実際に利用する人を指す言葉です。
「クライアント」と「ユーザー」には違いがありますが、どちらも広義では企業にとって大切な「お客様」を表している点で共通しています。
「クライアント」や「ユーザー」に敬称を付けるのは適切?
「クライアント様」や「ユーザー様」という表現を耳にする機会は多いですが、実際のところ、この言い方は正しいのでしょうか?
結論:敬称を付けるのは不自然
「クライアント」や「ユーザー」という言葉自体に「顧客」や「利用者」という意味が含まれているため、日本語の敬称である「様」を付け加えるのは不適切です。
たとえば、英語由来の言葉に敬称をつけて「ドクター様」や「ティーチャー様」とは言わないのと同じような感覚です。
ただし、ビジネスの現場では相手に対する敬意を強調したい、より丁寧に聞こえる表現を使いたいという意図から、このような表現が一般化した背景があります。
実際に「クライアント様」「ユーザー様」といった表記が企業サイトなどで見られることも珍しくありません。
この場合、会社独自のルールや業界の慣習に従った使い方をしているケースが多いです。したがって、本来は不適切な表現であることを理解しつつ、状況に応じた対応が求められます。
「さん」付けはどうか?
「クライアントさん」や「ユーザーさん」という表現も耳にすることがありますが、これも適切な日本語とは言えません。
「様」は敬意を表すのに対し、「さん」は親しみを込めた表現なので、正式な場面では使わない方が良いでしょう。
もし親しみを込めて話したい場合は、「クライアントの〇〇さん」や「ユーザーの〇〇さん」といった形で名前を交えて使う方が自然です。
このような表現なら、適度な親近感を保ちながらも、言葉としての違和感を避けることができます。
「クライアント」「ユーザー」の正しい使い方
「クライアント」や「ユーザー」という言葉には、敬称を付けなくても失礼にはあたりません。
そのため、社内でクライアントについて話す際には「クライアント様」ではなく、「クライアント」とそのまま使って問題ありません。
同様に、上司や役員へのプレゼンでも「ユーザーの…」とシンプルに表現して大丈夫です。
ただし、敬意を表したい場合は「クライアントの◯◯様」のように、名前に敬称を付ける形が適切です。
一方で、クライアントやユーザーに直接メールを送ったり話したりする際に「クライアント様」「ユーザー様」と表現するのは不自然です。
この場合は、名前に敬称を付けた形式(例: 「◯◯様」)を使うようにしましょう。
使用例
- クライアントから変更の依頼がありましたので、再度打ち合わせをお願いしたいと考えています。
- ユーザーの意見を取り入れることで、具体的な改善策が見えてきました。
- クライアントの◯◯様がこのようにご希望されています。
まとめ
「クライアント」や「ユーザー」に敬称をつける際の適切な使い方について、理解を深めていただけたでしょうか?
カタカナ語に「様」や「さん」を付ける表現は、日常的に使われていても、厳密には正しい日本語ではありません。しかし、ビジネスの場では状況に応じて使われることも多いため、必要以上にこだわりすぎるのも避けたいところです。
大切なのは、言葉の本来の意味や使い方を理解した上で、場面に応じた適切な表現を選ぶことです。クライアントやユーザーに対する敬意を大切にしつつ、不自然な印象を与えないよう心がけましょう。
今回の記事を参考に、言葉遣いを見直して、より良いコミュニケーションを築くきっかけにしていただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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