日常会話ではよく使われる「なので」という表現ですが、書き言葉やフォーマルな場面では適切に使うことが求められます。
特に、ビジネスシーンや目上の人へのメールなどでは、より丁寧な言い回しを選ぶことが大切です。
このブログでは、「なので」の意味や使い方、そして日常会話と書き言葉での適切な言い換え方法についてご紹介します。
正しい使い分けを知ることで、よりスムーズで伝わりやすいコミュニケーションを図ることができます。
「なので」の意味について
「なので」は、前の文で述べた内容が後の文の理由や原因を示すために使われる表現です。例えば「雨なので傘をさす」のように使用されます。
本来、「なので」は接続詞として一語で文をつなげる役割を持っていません。これは、断定の助動詞「な」の連体形と理由を表す接続助詞が結びついた形で、語に付随する形で使われます。
しかし近年では、会話の中で「なので」が接続詞として独立して使われるケースが増えてきており、いくつかの辞書でもこの使い方が紹介されています。
そのため、日常会話において「雨が降っている。なので、傘をさす」という表現が広く使われるようになっています。
「なので」を使い換えるべき場面とは?言い換え時のポイント
日常会話では、「なので」が接続詞としてよく使われますが、書き言葉においてこれを使うと、違和感を抱かれることがあります。
特に、目上の人に対するメールや正式な文章では、「なので」を接続詞として使うのは避けるべきです。そのため、以下のような文章では、他の表現に言い換えることが推奨されます。
【言い換えの例】
◆例:(ビジネスメール)在庫が不足しているため、納期が通常より長くなっております。
→ビジネスメールでは「なので」を使うより、「そのため」といった表現に変更したほうが適切です。
話し言葉での「なので」の言い換え方
次に、日常会話で使える「なので」の代わりとなる表現をいくつかご紹介します。まずは、順接の接続詞から見ていきましょう。
【だから】
これは、前に述べた事が後の内容の理由となることを示す接続詞です。日常的に使われる言葉で、「だから」の起源は「なので」と似ており、断定の助動詞「だ」と接続助詞「から」から成り立っています。現代では、接続詞としての意味が強くなっています。
◆例文:今日はたっぷり寝た。だから、体調がとても良い。
【そういうわけで】
これは「そういう理由で」という意味です。前述の内容を受けて使われ、類似の表現には「そんなわけで」や「そのようなわけで」などがあります。
◆例文:総務部のコピー機が修理中です。そういうわけで、今日は総務部でもこのコピー機を使います。
【それで】
前述の内容が後に続く事柄の理由となることを表す口語的な接続詞です。
◆例文:うっかり社員証を忘れた。それで、入館に時間がかかってしまった。
【そのため】
前の文を受けて、次に起こる事柄を導く表現です。
◆例文:資格の勉強ができませんでした。そのため、合格の自信がありません。
ビジネスシーンで「なので」をより丁寧に表現する方法
正式な場面やビジネスメールで使用する際には、以下のように「なので」をよりフォーマルな言い回しに変えることができます。
【したがって(従って)】
前述の内容を受けて、後の事が結果として起こることを示す表現です。「従いまして」という形で使用されることもあります。
◆例文:原材料の価格が高騰しております。したがって、商品の価格改定を検討しています。
【つきましては】【ついては】
「したがって」や「それゆえ」といった意味で使われます。丁寧に表現する際には「つきましては」がよく使われます。
◆例文:本日、電車が遅延しております。つきましては、開始時間を変更いたしますので、ご確認のほどお願い申し上げます。
【それゆえ】
前述の内容が理由となり、次の事が起こることを示す接続詞です。
◆例文:部長は若い頃に多くの失敗を経験しました。それゆえ、若手社員の失敗にも寛容です。
【よって】
前に述べた内容を根拠に、次の事を導く接続詞です。
◆例文:貴殿は素晴らしい成績を収めました。よって、その成果を称賛し表彰いたします。
「話し言葉」と「書き言葉」の使い分け
日本語には、会話の中ではよく使われる表現でも、書き言葉としては適切ではないものがあります。特に、文章においては文法的に正しい形を使うことが求められる場面が多いです。
以下の例のように、日常の会話ではよく使われる言い回しでも、書き言葉としては言い換えた方が良い場合があります。
【書き言葉ではこう言い換えよう】
◆例:昨日は、珍しいメニューを食べれて楽しかったです。
→正しくは「食べられて」です。
◆例:すごいびっくりしました。
→文法的には「すごく」「とても」「大変」「実に」などが適切です。
◆例:先輩みたく仕事ができません。
→正しい表現は「みたいに」や「のように」です。
◆例:やっぱ頼りになりますね。
→「やはり」や「思った通り」の方が適切です。
「なので」という表現も、会話では便利ですが、書き言葉では別の言い回しを選ぶことが重要です。
まとめ
「なので」は日常会話でよく使われる便利な表現ですが、書き言葉やフォーマルな場面では適切な言い換えが求められます。
特にビジネスシーンでは、目上の人に対して丁寧な言葉遣いを心がけることが重要です。
会話でよく使われる「だから」や「それで」などのカジュアルな表現は、書き言葉では「そのため」や「したがって」など、よりフォーマルな表現に言い換えると良いでしょう。
また、文法的にも日常会話では許容される表現が書き言葉では誤りとされることがあるため、注意が必要です。適切な言葉を使い分けることで、文章の質が向上し、より伝わりやすくなります。
日常会話と書き言葉の使い分けを意識し、場面に合った表現を選ぶことが、言葉遣いのスキル向上につながります。
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