「月並み」という言葉をご存じでしょうか?例えば、「月並みですが、優しい人です」という表現を耳にしたことがあるかもしれません。
これは、最近結婚を発表した女優さんが、パートナーについて聞かれた際にテレビで言った言葉です。
この「月並み」という言葉、日常的に耳にすることもありますが、正確な意味をご存知ですか?
何となく理解しているような気もしますが、説明しようとすると難しさを感じることもあるかもしれません。
意味や使い方をきちんと理解することで、自信を持って使いこなせるようになります。
そこで今回は、「月並み」という言葉の意味や使い方について、詳しく解説いたします!
「月並み」の意味とは?
「月並み」という言葉は、辞書で調べると「新鮮さがなく、ありふれていて平凡なこと」を指します。それでは、なぜ「月」と「並ぶ」が組み合わさることで、このような意味が生まれたのでしょうか?
元々「月並み」という言葉は、「毎月定期的に行われること」や「月に一度の出来事」を意味していました。
現代の言葉で言うと、「ツキイチ」といった具合です。この意味から、俳句や和歌の月例会を「月並みの会」と呼ぶようになりました。
俳句の世界では「月並俳諧」という表現も使われ、非常に盛んに行われていました。詳細は省略しますが、これは俳句の指導者が毎月句会を開き、集まった句を評価してコメントを行うというものです。
明治時代中期、正岡子規はこうした句会で作られた作品を「ありきたり」として批判し、「月並調」と呼びました。これをきっかけに、「月並み」が「ありきたり」や「平凡」といった否定的な意味で使われるようになったのです。
先ほどの女優の例で言うと、「月並みですが優しい人です」というのは、「ありきたりな表現かもしれませんが、私の結婚相手は優しい人です」という意味であり、決して「私の結婚相手は平凡な人です」という意味ではありません。
つまり、「月並み」の後に続く言葉は、「~な表現」や「~な考え方」という意味を含んでいると考えると理解しやすくなります。
「月並み」の使い方
「月並み」という言葉は「ありきたり」や「平凡」を意味しますが、使う場面によっては必ずしも否定的に使うわけではありません。
もちろん、「あの人の言うことは月並みなお世辞だ」というように否定的な文脈でも使えますが、実際には、自分の発言を控えめに表現したいときに使われることが多いです。
「月並みですが…」と言うことで、自分の言葉を「平凡な表現かもしれませんが」といった意味で謙遜するのです。
本当に大したことを言っていないというよりは、「つまらないかもしれませんが…」という形で自分を低く見せる意図があります。
月並みの例文:
- 月並みですが、頑張ります
- 月並みですが、末長くお幸せに
- 月並みな表現ですが、ご活躍をお祈り申し上げます
- 月並みで恐縮ですが、全力で努力いたします
- 君の発想は月並みだな
「月並み」の類語
「月並み」という言葉は、「ありふれている」「平凡」など、特別感のない状態を表す際に使われます。
以下に「月並み」の類語をいくつか紹介します。それぞれのニュアンスを理解し、適切に使い分けることで、表現の幅が広がります。
1. 平凡(へいぼん)
「平凡」は、特に目立つ特徴がなく、一般的であることを意味します。良くも悪くもない状態を指し、欠点を強調することなく使われる場合もあります。
例文:
- 彼は平凡な人生を送っている。
2. ありきたり
「ありきたり」は、予想通りで新鮮味がないことを意味します。何度も見たり聞いたりしたことで、特別感がなくなった状態です。
例文:
- そのアイデアはありきたりすぎて、魅力を感じない。
3. 凡庸(ぼんよう)
「凡庸」は、特に優れた点もなく、普通であることを意味します。否定的に使われることが多いですが、使い方によっては単に「普通」という意味にもなります。
例文:
- 彼の意見は凡庸すぎて、心に響かなかった。
4. 陳腐(ちんぷ)
「陳腐」は、古くて新鮮さがない、または使い古されていることを意味します。アイデアや表現に新しさが欠けているときに使います。
例文:
- その話は陳腐すぎて、もう誰も興味を持っていない。
5. 普通(ふつう)
「普通」は、特に特徴がなく、一般的であることを意味します。良いも悪いもなく、他と同じであることを示す言葉です。
例文:
- 今日は普通の一日だった。
使用のポイント
「月並み」の類語を使う際は、どの程度否定的な意味を込めたいかによって選択が異なります。
例えば、「凡庸」や「陳腐」は少し強めの批判を含む一方、「平凡」や「ありきたり」はもっと柔らかい印象を与えることができます。文脈に応じて適切な言葉を選びましょう。
ただし、「月並み」を他の言葉に置き換える際には注意が必要です。
自分の意見を「月並み」と表現すれば、謙遜の意が伝わりやすいのですが、「平凡」や「陳腐」と言うと、その印象が強く、聞き手によっては「えっ、陳腐って?」と驚かれるかもしれません。
「月並み」は、他の類語に比べて、より謙虚で柔らかい印象を与える便利な表現なのです。
まとめ
「月並み」という言葉について、意味や使い方を詳しく理解いただけたでしょうか?
この言葉は、もともと俳句や和歌の世界から派生した表現で、現在では「ありきたり」や「平凡」といった意味で使われますが、使う場面によっては謙遜の気持ちを込めて使うこともあります。自分の言葉を控えめに表現したいときにぴったりの言葉ですね。
また、類語として「平凡」「ありきたり」「凡庸」「陳腐」などがあり、それぞれのニュアンスを理解して使い分けることが大切です。特に、「月並み」はその中でも謙虚な印象を与える表現であり、他の言葉に比べて柔らかく伝えることができるため、積極的に活用できる場面が多いでしょう。
これから「月並み」という言葉を使う際には、意味や使い方をしっかり意識して、さらに上手に表現できるようになりましょう!
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